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広告・クリエイティブ

カンヌライオンズ2025から学ぶ、「共感」が広告を動かす時代

2025年6月にフランス・カンヌで開催された第72回カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル。グランプリ受賞作に共通するのは、「売ろうとしていない」という逆説的な姿勢でした。受賞作から読み解く、これからの広告の本質。

カンヌライオンズとは何か

毎年6月、フランス南部の都市カンヌで開催される「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル」は、世界最大の広告・コミュニケーションの祭典です。100カ国以上から3万点を超える作品が集まり、グランプリを獲得した作品は「世界で最も優れたコミュニケーション」として認められます。

2025年6月16〜20日に開催された第72回では、34のグランプリが発表されました(出典:カンヌライオンズ公式サイト)。

Film部門グランプリ:L'Oréal Paris「The Final Copy of Ilon Specht」

フランスの化粧品ブランドL'Oréal ParisとMcCann Parisが制作した「The Final Copy of Ilon Specht」は、Film部門のグランプリを受賞しました。

この作品は、1973年に「Because I'm Worth It(私はそれだけの価値がある)」というコピーを書いた23歳の女性コピーライター、Ilon Spechtの物語を描いたドキュメンタリーです。当時、女性が「自分のために」化粧品を買う、という発想自体が革新的でした。

50年以上経った今も使われ続けるこのコピーが、どのように生まれたかを掘り起こすことで、L'Oréalは「ブランドの歴史そのものが最強のコンテンツになる」ことを証明しました。

Entertainment部門グランプリ:Hyundai「Night Fishing」

現代自動車(Hyundai)とINNOCEAN Seoulが制作した「Night Fishing(夜釣り)」は、Entertainment部門のグランプリを受賞しました。

この作品は、7台の車内カメラで撮影された異色のスリラーです。匿名のエージェントと正体不明の存在との出会いを描いたヒューマニスティックな短編映画で、車は登場しますが主役ではありません。

「Hyundaiは移動手段を売っているのではなく、人生の予期せぬ瞬間に寄り添う存在だ」というブランドの文脈を、緊張感ある映像で伝えました。

Creative Strategy部門グランプリ:Dove「Real Beauty」

Doveは今年も複数部門でグランプリを受賞しました。Creative Strategy部門では「Real Beauty: How a Soap Brand Created a Global Self-Esteem Movement」が受賞。

2004年から20年以上続く「リアルビューティー」キャンペーンが、単なる広告を超えて「社会運動」になった過程を体系的に分析した作品です。一貫したブランド哲学を持ち続けることが、いかに強力な資産になるかを示しました。

日本の中小企業が学べること

カンヌの受賞作は予算規模が大きく、「うちには関係ない」と感じるかもしれません。でも、本質的なことは規模に関係しません。

「何を売るか」より「何のために存在するか」を語ること。

L'Oréalは50年前のコピーライターの話を掘り起こし、Hyundaiは車を映さない映画を作り、Doveは20年間同じ哲学を語り続けました。

地域の工場が「部品を作ります」ではなく「この部品があるから、あの製品が動く」と語る。その「存在理由」が明確なブランドは、広告を打たなくても人に語られます。


参考:カンヌライオンズ公式サイト / Campaign Japan「カンヌライオンズ2025、グランプリ全作品と日本勢の受賞作品」

#カンヌライオンズ#ブランディング#広告#クリエイティブ

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